tipToe./1st CONCEPT ONEMAN「blue moon rising」解説

先日7/8はtipToe. 1st CONCEPT ONEMAN「blue moon rising」にお越し下さりありがとうございました。おかげさまでアイドル横丁さんの裏にも関わらずソールドアウトできました。あの後横丁さんを回された方もいらっしゃったのではないでしょうか。当日券を含めてやっとソールドアウトとなった4月のワンマンでメンバーが「絶対次は事前にソールドアウトさせる」と宣言していたことが無事実現できました。皆様のおかげです。ありがとうございます。

 

tipToe.は前日7/7にアイドル横丁さんに出演させて頂き、初の夏フェスを味わいました。屋外でのライブは念願で、結成初期からいつか屋外でやりたいと言っていたメンバーがいたほどでした。1日に2ステージ頂けて、夕方のステージは若干進行が押した結果、日没直前の時間帯のまさに日が落ちる瞬間にライブが終わるというtipToe.にとって最高の環境を頂けました。

そんな最高の前日の後押しがありながら「blue moon rising」当日を迎えました。

 

少し話が逸れますがtipToe.は1年生編、2年生編、3年生編という形で約1年ごとに活動を区切って楽曲やビジュアルを展開しています。tipToe.は初期メンバーである花咲なつみ、都塚寧々、三原海、成瀬ゆゆかの4人と、1年生2学期編と呼んでいる1年生編後半からの椋本真叶、日野あみの2人の合計6人でオリジナルメンバーであると考えています。

振り返ってみると成瀬ゆゆかの離脱、椋本真叶、日野あみ加入、そして成瀬ゆゆかの復帰という1年の間に起きた様々な出来事を経てオリジナルメンバー6人が揃って全員が同じ方向を向くまでが1年生編であったように思えます。

あまりにもよくできた話過ぎてシナリオがあるのではないかと冗談交じりで言われたことがありますが全部現実に起こったことで、運営が当初想定していた状況とは全く違います。現体制の6人というのは結成前に運営が定めた「一人一人を見て個性が発揮できるように育てていく前提で受け入れられる最大人数」です。他所のグループさんを見ていると1年も続かないアイドルさんが多かったので努力してもそもそも6人揃って1年以上続けていくことは難しいだろうと考えていましたし、もっとメンバーの入れ替えが激しいのでは…と想定していました。

 

そんな6人が揃った奇跡的な状況の中、「みんなで青春しませんか?」のコンセプトのもとこの1年メンバー、運営、ファンの皆様の3者で今に至った訳ですが、tipToe.の楽曲の主人公もこの1年で成長していきました。「tipToe.の楽曲の主人公」といきなり言ってしまうと頭にクエスチョンマークが浮かぶかもしれませんが、tipToe.の楽曲は常に一人の主人公の物語を描いてきました。この主人公はメンバーでも作曲者でもファンの皆様でもなく、架空の10代の女の子です。内気だった女の子が「特別じゃない私の物語」で一歩踏み出し、「夢日和」で成長していき、「ハートビート」で壁にぶつかりつつも乗り越え、「かすみ草の花束を」で背中を押されて前を向いて歩いていけるようになる。他の曲たちはそのサイドストーリーという位置付けで、この物語をまとめたのが「magic hour」というアルバムでした。

 

「magic hour」とは天気が良い日の日没の頃、太陽が落ちて世界が橙色に染まるまるで魔法のような10分程度の時間のことを示す写真用語です。僅かですぐに終わってしまう特別な時間「magic hour」を「青春」と重ねてアルバムのタイトルにしています。ただ、「magic hour」の中にいる当事者はそれになかなか気づけないんですよね。だからこのアルバムのタイトルは当事者にとっては実感がないかもしれないです。何年かして振り返って、あの時自分はそういう時間にいたんだなと気づくだけです。

 

楽曲の主人公は内気な人間なので前提として暗さはありますが、この1年間は青春の中でも比較的明るく元気で可愛い面を多く描いてきたつもりです。何かに立ち向かう時でもそれをポジティブに乗り越えていく力のある曲というか。

 

でも青春ってそれだけじゃないと思っていて。憂鬱なこと、うまくいかないこと、他人には言えないこと。僕はそれを無視したくありませんでした。例えば、学校で友達と一緒にいる時は楽しいのに、夕方みんなと別れて家で一人になると色々なことを憂いてしまう。でも朝になればまた友達と会ってそれなりに笑って過ごせる。昨日何に悩んでいたのかすら忘れてしまう。そんな一人の時間を、夜を、描きたくなりました。

 

こう考え始めたのが去年の11月頃。「ハートビート」と「ナイトウォーク」を作っていた頃です。この2曲はほぼ同時期に生まれていて、「ナイトウォーク」も「magic hour」に収録することは可能だったのですが意図的に外しています。

 

そして4月に2nd ONEMAN「blue moment」を企画しました。「blue moment」とは日没後「magic hour」の橙が終わって、空が藍色から闇に移り変わっていく世界が藍一色になる僅かな時間帯のことを指します。実は「blue moment」というイベントは、「今までの昼の時間の総まとめし、これから夜に向かっていく」という意思表示でした。

 

楽曲の主人公もここで日中を共に過ごした友達と別れ、一人の時間を迎えます。同様に主人公の友達も一人を迎えます。8月発売のシングル「thirdShoes.」は4曲入りなのですが、「magic hour」の楽曲の主人公一人の話ではなく、主人公も含めた友達それぞれの話として作りました。同じ街に住む4人の主人公それぞれに起きた同じ夜の話。夜にまつわる4本の短編集です。新衣装もこれまでより制服モチーフから外しているのは学校の外の話だからですね。

 

この楽曲の主人公たちに夜がやってくるまでの話を描いたのが「blue moon rising」という訳です。ということでいよいよ本題「blue moon rising」の演出についてです。

 

まずセットリストです。

 

昼Part
衣装:magic hour
日中の楽しく元気で可愛い生活を表現する/感情表現豊かに
SE(morning milk)
1.特別じゃない私の物語
MC
2.ひとりごと
3.ハッピーフレーバー
MC
4.ビギナー
5.ハートビート
MC
6.かすみ草の花束を

転換(夕Part)
メンバーは一度退場/夕方から夜に向けて照明と音で表現
1.twilight,night(aoi kanataインスト曲+環境音)

 

夜Part
衣装:thirdShoes.衣装(別名:夜衣装)
夜の美しさ・儚さを幻想的に表現する/笑わない、煽らない、演じるように

1.砂糖の夜に
2.僕たちは息をする
3.クリームソーダのゆううつ
4.ナイトウォーク
無音
5.blue moon.

アンコール
好きにやってほしい
1.夢日和

 

<昼Part>
1年生編を表現するパート。いつも通りやってくれれば良いとメンバーには説明していました。曲順は1年生編のメインストーリーの第1話「特別じゃない私の物語」で始まり、最終話「かすみ草の花束を」で終わらせてます。「ここで待っているのはもう終わりにするから 私を見てて(特別じゃない私の物語)」と言っていた主人公が「大丈夫、この手を取って(かすみ草の花束を)」と頼もしくなるのは自分がPのくせにグッときましたし、メンバーが大サビで手を出すタイミングが完璧すぎて泣きそうです。ちなみに、途中までmagic hourの曲順をトレースしてるのはmagic hour完全再現だと誤認させるためのフェイクです。「あれ?コンセプトワンマンって言ってるわりにはいつも通りだな。。。」と思って頂けていたら僕の思惑通り。このPartでは月見ルの代名詞である”月”演出は使わないようにしています。

<夕Part>
メンバーの衣装替えも兼ねた演出パート。クリームソーダのゆううつの作者aoi kanataさんのピアノインスト曲と環境音を組み合わせたトラックと、照明演出で日没を表現。街の音、夕方のチャイム、猫の鳴き声。環境音の中にさりげなくずっと混ざっている足音は楽曲の主人公が帰り道を歩いている音。夜になり、黄色い月が浮かぶ。虫の声。静寂。ステージはスモークを充満させ、幻想的な雰囲気に。

 

<夜Part>
thirdShoes.の世界を表現するパート。昼Partとの対比として「笑わないこと、かといって無表情ではなく切なさ、儚さといった感情は表現する」とメンバーにお願いしました。

1曲目「砂糖の夜に」は今までSEとして使っていた楽曲に都塚寧々による詩を載せたポエトリーリーディング楽曲。歌唱は都塚寧々のソロ。この曲の初出は4月のワンマンライブで流した「thirdShoes.」の予告編。その時点からこの曲は実はほぼ完成していて、ついに完成形を披露したという感じです。実は遥か前からお客さんもthirdShoes.の曲を聴くことができたんです。この曲用に都塚寧々に小道具の本を渡していて、その本を読み上げるような演出を行っているのですが、曲の途中から寧々が本を読まなくなったのは寧々自身の演出です。読まされているのではなく、あの曲の歌詞は寧々自身の言葉なんですよね。本番前に一人で読むの緊張するよね、と寧々に聞いたら「緊張しないです。大丈夫です。」って言ってて頼もしかったです。

続いて「僕たちは息をする」でフロアがどういう空気になるかが一つの勝負どころでした。いつもだと「夢日和」に次いでフロアから声が上がる曲なのですが、今回の演出的に黙って見ていて欲しかったんです。結果的に皆さん静かに見入ってくださっていて流石うちのお客さん…と思った次第です。ありがとうございました。

月見ルでやる「ナイトウォーク」はかなり期待して下さった方が多かったのではと思うのですがいかがでしたでしょうか。照明も含めて綺麗でしたね。今回のイベントの来場者特典音源でもありました。Twitterでエゴサすると色々とこの曲の意味を考察して下さってて楽しく拝読させて頂いております。夜に公園のブランコに乗ると月明かりや街灯に照らされて影ができて地面を蹴る瞬間自分の足と自分の影の足がくっつくんですよね。

最後、花咲なつみが「信号が青に変わるよ」と歌い、静寂が訪れます。すると月の色が黄から青に変わります。

静寂の中、三原海のバレエテイストなソロダンスから始まる新曲「blue moon.」を初披露しました。このイベントのタイトル「blue moon rising=青い月が昇る」は「blue moon.」に到達するまでを表現していました。気づかれた方がいたら嬉しいのですが、今までtipToe.は意地でもタイトルにローマ字を使いませんでした。ここでそれを解禁したのは成長を表現したかったからです。「blue moon.」はとても美しい曲なのですがリリースにあたって悩みました。「一般的なアイドル曲として踏み越えてはいけないラインをギリギリ踏み越えてしまった曲」だと感じたからです。音楽的にちょっと難しくて大衆的ではない印象があります。今まで誰にでも簡単に受け入れられる曲を作ろうと努力してきましたので、この曲はそのルールを侵してしまいます。ただ、デビュー曲がこれだったら違いますが1年生編の楽曲群を前提に、今なら一度ここでこういった表現を提示してみてもいいのではないかと思い制作を進めました。この曲をどう思うか、お客さんに委ねてみたいと思います。

<アンコール>
好きにやっていいよとメンバーに任せていました。それにしても日野あみはぶっとんでて面白いし、椋本真叶がいると安心しますね。

演出の解説は以上です。今回のワンマンは昼の明るい時間から夜の闇の深いところまで潜っていった訳ですが、この続きは次のワンマン「Our blue moment」に引き継がれます。「blue moment」は夜になる直前だけでなく、陽が昇って朝になる直前にも起きる現象です。同じ「(Our) blue moment」でも4月のワンマンは和訳すると「そして夜が来る」ですし、8月のワンマンは「私たちの夜明け」となります。一日を振り返り夜に向かって一人ずつ別れていく2nd ONEMAN「blue moment」、夜が深まり青い月が昇る1st CONCEPT ONEMAN「blue moon rising」、そしてみんなで朝を迎える3rd ONEMAN「Our blue moment」。「Our blue moment」は「私たちの夜明け」なので沢山の人と迎えたいと思っていて、それも踏まえて無茶してチケット代をいつもより安くしてます。ファンの皆さんが来て下さること自体が演出に他ならないです。よろしくお願いします。

 

8月18日
tipToe. 3rd ONEMAN「Our blue moment」
https://twitter.com/tipToe_official/status/1010181282695766016

 

夜には・・・・・・・・・さんとのツーマンもあるのでどちらもよろしくお願いします。ちなみに・・・・・・・・・さんとのスプリットシングル「Tokyo Sentimental」に入る曲は「thirdShoes.」とは全く違う番外編的な世界の話です。

 

 

最後になりますが、別にメンバーたちが緻密にこれを理解している必要はないと思ってます。感覚的に大事な部分はわかってて欲しいですけどね。自分なりに解釈して表現してくれる方が良いですし、「そんな細かいのわからん」ぐらいの方がリアルですよ。そこに頭使うよりも自分がグループの中でどう在りたいか、どう在るべきか、そしてファンの方にどう応えられるか考え続けてほしいなぁと思います。その模索こそがグループのコンセプトそのものなのかなと。

 

ではまた。

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