商業音楽とロックンロール

こんにちは。曲作りについての話です。

 

僕は元々ただの音楽好きだったのですが、今は音楽やその他エンタメ関係のお仕事でありがたくも金銭を頂戴している立場ですので、ただ好きというだけではなく「いかにして売るか」「いかにして売れるものを作るか」ということを考えなくてはいけなくなりました。

まぁ、「いけなくなりました」と言っても僕は音楽を消費するのと同じぐらい売るのも好きだったので幸せなんですけどね。

 

僕がお付き合いするアーティストはミュージシャン、カメラマン、イラストレーターと色々いますが、それでお金を得て生活していきたいと考える方が殆どです。つまり、「売れたい」と。もちろん僕も売れてくれないと困ってしまいますから、僕らの会話の根本にあるのは「どうやって売れるか」です。

という訳で「売れたい」のはみんな一緒なんですけど、アーティストは「売れたい」と言っても「(やりたいことやって)売れたい」であることが殆どなのでそこで議論が発生します。大抵の場合アーティストがやりたいことをそのままやると「わかりにくい曲」になってしまうから「それじゃダメだよ、もうちょっと考えようよ」と僕が説得する流れになります。

逆に変に器用だと「大量生産な誰かと似た薄っぺらい曲」になっちゃうパターンもありますけどね。僕は「大量生産曲」タイプよりも「わかりにくい曲」タイプの方がポテンシャルは高いと思っています。大量生産曲タイプは器は上手く取り繕えても中に入れる”魂”がない。わかりにくい曲タイプは”魂”を誰にでも食べやすいように上手く加工してあげればいい。

 

言うまでもなく僕もやりたいことをやって売れてほしいです。でも世の中の人々が自分のやりたいことを盛り込んだ曲を好いてくれなかったらどうします?複雑、難しい、マニアック、重い、エグい、暗い…。音楽オタクの僕らが作った音楽はそんな感じになりやすいです。僕らは「違いのわかる男」になりすぎたんですよ。つまり、僕らの基準で考えても意味がないです。1歩、2歩譲ったところでそれでもまだ足りないところに一般層はいます。

だから、ボーカル以外のパートが全部まとまって聴こえた頃の昔の自分を思い出して、そんな自分でも「良い曲だね」とわかるような「わかりやすい曲」を作ってほしいと思います。全部じゃなくていいですけど、せめてリードトラック+2曲程度は…。

 

まず、自分たちがCDを売ったりライブをやって僅かながらの対価を得ている以上、自分の今いるフィールドが「商業音楽」の場であることを理解しましょう。お客さんは何を求めているのか、どういうものがわかりやすく伝わるのか、それが買い手がいて初めて成立する「商業音楽」というフィールドでは一番大事です。そこに作り手のこだわり(魂)を混ぜましょう。100万人その曲を好きになってくれたとして99万人はそれに気づかなくても違いの判る1万人だけは気づいてくれるその魂を。

最近はお仕事でメジャーレコード会社や売れてる若手を抱える担当さんと話す機会が多くて色々話すのですけど、別に上の人たちは大衆に媚びてるんじゃなくて「やりたいことをやる」のその先の次元で戦ってるんですよ。わかりやすく、かつ自分たちのこだわりをいかにさりげなくねじ込めるか。たまにアニソンとかでベースが異常にヤバいのとかありませんか笑

こういう話をしても「そんなのロックじゃねえ!!」って吐き捨てられちゃうこともあります。でも僕は意気地になって周りの50人の「違いのわかる人」にしか聞かれない音楽を作ることよりも、100万人に愛されるわかりやすい曲の中にこっそり魂を練りこむ方が全然ロックだと思いますよ。この辺りはレーベルの担当者ごとの哲学があって、僕とは全く違うことを言う人もいると思いますから焦らず相性の良い裏方と組むことをお勧めします。

 

僕らは先人たちが作った沢山のポップでキャッチーな「商業音楽」から始まって音楽を志したのだから、食っていこうと思うなら僕らも「商業音楽」をやる覚悟を決めましょう。怖がらないで大丈夫です。「商業音楽」の皮を被せたって内に込めた魂は聴く人が聴けばきっと届きます。魂を感じ取って音楽を始めた僕ら自身がその証明じゃないですか。

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